<基準平面、点、角度、顎運動>
- 角:FH to 咬合:11〜15度
- 角:Bonwill to 咬合:26度
- 角:ベネット角:13.9度
- 角:矢状顆路 to 咬合:33度
- Frankfort平面:左右の耳珠上縁(または外耳道上縁)と左側眼窩窩縁最下点(眼点)からなる。
- Camper平面:鼻翼下縁と外耳道(または耳珠先端)からなる。鼻聴道線を含む。FH平面とCamper平面のなす角度は11〜15度である。
- 眼窩平面:左右眼窩窩縁最下点(眼点)を通り、FH平面と垂直に交わる平面。
- HIP平面:左右ハミュラーノッチと切歯乳頭中央部との3点で構成される平面。有歯顎者の咬合平面と平行とされる。
- Bonwill三角:別名下顎三角。左右下顎頭の上面中央と切歯点で構成される三角。一辺4インチ(10cm)である。
- Balkwill角:Bonwill三角と咬合平面のなす角。平均26度。
- Monson球面説の球体半径は4inch(10cm)である。
- ベネット角:別名、側方顆路角。でも、個人的には平衡側水平側方顆路角と言うべきか。13.9度である。
- ベネット運動:側方運動時の作業側顆頭の回転様の外側移動で、1mm程度
- 側方切歯路角:下顎側方限界運道路によって作られる、水平的な内角。ゴシックアーチの展開角(120度)と言われる。
- フィッシャー角:作業側の矢状前方顆路傾斜と矢状側方顆路傾斜の成す矢状面の角度。
- サイドシフト:下顎全体の側方移動
- アンテリアガイダンス:前歯の指導要素
- ポステリアガイダンス:顆頭の指導要素
- イミディエイトサイドシフト:側方運動時、平衡側顆頭の運動で、水平断から見た際の最初の側方運動要素
- プログレッシブサイドシフト:側方運動時、平衡側顆頭の運動で、水平断から見た際の最後の前方運動要素
- 矢状顆路傾斜:前方と側方がある。で、この角度は関節結節によって規定される。一般に無歯顎者の方が関節結節は小さくなるので、矢状顆路傾斜は小さくなる。
※人工歯排列の際、間違っても臼歯の咬合高径によって矢状顆路傾斜を調節しては行けない!!矢状顆路傾斜に合わせて臼歯を配列する事が大事!!
<3年FD授業小テスト内容>
前方運動の際、両側の下顎頭は関節結節斜面にそって前下方に移動する。
このときの下顎頭の経路を矢状面に投影させたものを(矢状顆路)と呼び、関節結節の形状に影響されS字状のカーブになる。
この曲線の基点と移動した点を結ぶ直線が水平基準面となす角を(矢状顆路角)または(矢状顆路傾斜度)という。 また、咬合平面となす角度の平均値は(33)度前後である。
下顎切歯点は上顎前歯舌面に誘導されて咬頭嵌合位から接端咬合位まで移動し、このときの下顎切歯点の経路を(矢状切歯路)という。 この経路の起始点と移動した点を結んだ直線が水平基準面とのなす角度を(矢状切歯路角)という。
下顎の前方移動に際し、矢状顆路核の存在により下顎の後方部は下方に移動する。 全部床義歯においては下顎前歯部が咬合面と平行に移動する場合に、側方から観察すると前歯部から臼歯部にかけてクサビ状の空隙が生じる。 この現象を(矢状クリステンゼン現象)と呼ぶ。
側方運動について
このとき、片顎の下顎頭は反対側の下顎頭を中心に旋回しながら前方に移動し、回転を行う下顎頭は外側に移動して上下の同名咬頭同士が対向する。 この側を(作業側)と呼び、反対側を(平衡側(非作業側))とよぶ。 切歯点部における左右側方への運動を水平基準面に投影したときに描かれる運動路は(ゴシックアーチ)と呼ばれ、切歯点部または口腔内正中部などで記録され、約(120)度である。
側方運動のとき作業側下顎頭の運動経路を(作業側顆路(回転顆路))といい、反対側の下顎頭の経路を(平衡側顆路)という。 平衡側下顎頭が前下内方に移動する角度は矢状面に対して計測され(側方顆路角)または(ベネット角)と呼ばれ、Gysiによれば平均(13.9)度である。
作業側の下顎頭の外側方への運動は外側方への運動は(ベネット運動)とよばれ、0~3mmの範囲で通常は(1)mm以内の小さな運動である。
前頭面において観察するとき、平衡側下顎頭は前下内方に大きく移動する。 作業側の前歯部で下顎がガイドされ咬合平面と平行に移動する場合、平衡側の臼歯部には作業側の臼歯部よりも大きな空隙が生まれる。 この現象は(側方クリステンゼン現象)とよばれる。
<重力で位置が変わる顎位>
- 嚥下位 :嚥下時に上下顎歯の接触する位置。中心位と中心咬合位の中間にあり、中心位に近い。重力の影響を受ける。
- 発音位 :歯の接触は無い。体位により容易に変化する。
- 筋肉位 :咀嚼筋群の作用によって決定される水平的な咬合接触位。下顎安静位から閉口する事によって得られる顎位。中心咬合位と一致すると言われている。重力の影響有り。Brill(1959)
- 下顎安静位 :ご存知の通り。
<咬合様式>
リンガライズドオクルージョン
- Pound先生が考えた、咬合力を舌側方向に集中することで、義歯の安定を図るもの。
- 上顎臼歯舌側咬頭のみが下顎臼歯に接触する。
- 下顎臼歯をパウンドラインよりも舌側に配置する。
- パウンドライン:レトロモラーパッドの舌側面と同側犬歯近心隅角を結ぶ直線
- 下顎臼歯の舌側咬合がパウンドラインより舌側になるよう配列する。
グループファンクション
偏心咬合時、作業側臼歯による誘導があり、平衡側は離開する。カスピッドプロテクテッドオクルージョン(犬歯誘導)
偏心咬合時、作業側犬歯による誘導があり、平衡側は離開する。ミューチュアリープロテクテッドオクルージョン
中心咬合位にて臼歯のみが交合し、前方位にて前歯のみが交合し、側方位にて犬歯のみが交合する。<咬合様式 森先生的分類>
咬合の歴史はそもそも全部床義歯から始まった。その際、両側性平衡咬合が良いとされたため、それを有歯顎者にも適応した所、最悪だった。その結果、臼歯離開咬合、犬歯誘導、ミューチュアリープロテクテッドオクルージョンが生まれた。
- 全部床義歯の咬合様式
- (フルバランスド・オクルージョン)
- 両側性平衡咬合(bi-lateral)
- 片側性平衡咬合(uni-lateral)
- リンガライズド・オクルージョン
- 有歯顎者の咬合様式
- フルバランスド・オクルージョン
- グループファンクション(臼歯離開咬合)
- カスピッドプロテクテッド・オクルージョン(犬歯誘導)
- ミューチュアリープロテクテッド・オクルージョン(各咬合位にて接触部位が異なる)
その他用語
- ロングセントリック:咬頭嵌合位(IP)と最後方咬合位(RCP)の間に、咬合高径の変化しない前後的な自由域を持つという考え方。通称スカンジナビア学派。
- ポイントセントリック:咬頭嵌合位と最後方咬合位は一致するという考え方。IP=RCP。通称ナソロジー学派
- ワイドセントリック:中心咬合位における、左右的自由域。咀嚼の閉口路にて、作業側臼歯は作業側へ向かい回転運動をし、最後に下顎頬側咬頭が上顎頬舌側咬頭内斜面に触れ、中心咬合位となり嵌合する。その最後に中心咬合位をとる際、力学的ベクトルは上顎舌側方向を向いているため、上顎舌側咬頭内斜面に対しより大きな応力が加わる。そこで、上顎頬側咬頭内斜面と上顎舌側咬頭内斜面に頬舌的な距離(ワイドセントリック)を設け、最後の咬み込む力を緩衝しようとした。