<フッ素>
- 歯垢中のF濃度は50ppm。唾液中の濃度は0.03ppmと、歯垢の方が高い
- 日本人成人の一日のフッ素摂取量は2.3mgである
- NaFの経口摂取最小致死量は成人で4〜10gである
- 血清中のフッ素濃度は0.1ppm以下である
- 摂取されたFは、成人にて90%以上は急速に尿中に排出される。小児では骨に移行する物が多く、排出されるのは60%くらいとなる。
<フッ化物の齲蝕抑制機序>
- 歯に対して
- フルオロアパタイトの形成
- 結晶性の向上
- 再石灰化、エナメル質成熟の促進
- 歯面環境に対して
- 抗酵素作用:酸産生の抑制
- 抗菌作用:菌体外多糖の合成抑制
<応用方法>
- 全身的応用
- 水道水:水道法第4条の規制では、0.8ppm(mgF/l)以下
- 食塩:250ppm
- 局所的応用
- 歯面塗布
- 2%フッ化ナトリウム溶液
- 特徴:pHは中性
- 成分:0.9%F(9000ppm)
- 塗布回数:(2週間に4回)x2/年
- 酸性フッ素リン酸溶液(APF溶液)
- 特徴:pH3.5程度で酸性が強いため、通常のNaFよりも効果が大きく、塗布回数も、塗布時間も少なくてすむ。
- 成分:
- 第1法(APFゲル)は1.23%F。NaFが2%
- 第2法は0.9%F(9000ppm)。NaFが2%
- 塗布回数:2回/年
- 8%フッ化第1スズ溶液(Sn2F)
- 特徴:pH2.8なので効果は強いものの、着色する可能性があるため、あまり用いられない。
- 成分:1.9%F(20000ppm)
- 塗布回数:2回/年
- 洗口
- 毎日法:225〜450ppm 1回で5〜10ml
- 週1回法:450〜900ppm
- 歯磨材 現在フッ化物配合歯磨材のシェアは約90%
- 成分:1000ppm以下
- 種類:フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム
- レーザー:2%NaF
- フッ素徐放性材料
※1%=10000ppm
<急性中毒>
- 中毒量と使用上限量:
- 2mgF/kgの場合:使用上限量は2%NaFで、体重/4.5=Xmlで出ます。
- 4mgNaF/kgの場合:使用上限量は2%NaFで、体重/5=Xmlで出ます。
- 症状:胃腸症状
- 対策:
- 牛乳を飲ませる
- 10%グルコン酸カルシウム10ml
- 静注:1時間ごと。orテタニーごと
- 筋注:4〜6時間ごと
- 石灰水での胃洗浄
- ブドウ糖注射液と生理食塩水の静注
<慢性中毒・歯のフッ素症>
- 斑状歯(歯のフッ素症)
- 1〜2ppmにて起きる
- 乳歯よりも永久歯の方が発現し易い
- 地域的に集団発生することが多い
- 主にエナメル芽細胞に作用するため、エナメル質に起こるが、重症の場合は象牙質にも起こる。
- 齲蝕にはなりにくい
- 骨硬化症:8ppm