貴金属、非貴金属

<貴金属>



Au、Pt
含有(w%)
硬さ
(Hv)
引張強さ
(MPa)
伸び
(%)
融点
(℃)
主な用途
硬化熱処理
タイプ別金合金
タイプ1
(軟質)
20K(83%)
以上
100
250
18%以上
930以上
インレー
X
タイプ2
(中硬質)
19K(78%)
以上
150
350
12%以上
900以上
インレー
クラウン
組成による
タイプ3
(硬質)
19K(78%)
以上
200
450
12%以上
900以上
クラウン
ブリッジ
タイプ4
(超硬質)
18K(75%)
以上
250
550
10%以上
870以上
クラスプ、
バー、金属床
金合金14K
14K(58%)
程度
150-300
軟化500-800
硬化700-1000
軟化14-39
硬化2-7
800-960
インレー
クラスプ
陶材焼付用合金
様々
145-275
500-670
5-23
1200-
1300
陶材焼付
前装鋳造冠
陶材焼付時に硬化
金銀パラジウム合金
12%
120-220
480-830
5-30
900-980
汎用
低融銀合金
-
130-160
340-350
8-14
560-680
メタルコア
インレー
X

金合金

  1. Au単体の融点は1063度。合金は全て1000度以下なので、石膏系埋没材を用いる。 
  2. 基本構成はAu-Ag-Cuである。 
  3. 若番ほど金の配合はく、融点はく、耐食性は上がる。一方、硬さは柔らかくなり、強度が落ちる。 
  4. 遅番でも75%以上は金を含有する。 
  5. 遅番ではCuの配合が増え、融点が下がる。10〜15%以上添加すると、強度が上がり、タイプ3,4では硬化熱処理が可能である。 
  6. 金と銅の硬化熱処理で生成されるのは規則格子である。 
  7. 硬さは最大250Hvなので、エナメル質の350Hvには到底及ばない。
  8. 熱膨張係数は15(10*-6/℃)で、鋳造収縮は1.5%。

金銀パラジウム合金

  1. 成分は以下の通りである。
    1. 50%)
    2. Pd20%):Ag硫化を防ぐ作用がある。物性を向上させる。
    3. Au12%):耐食性を向上させる。
    4. Cu(15%);融点をげ、強度をげる。
  2. 性質は全て、金合金タイプ3,4の間に相当する。何でも良く使える。
  3. 硬化熱処理が可能である。銀とCuとの間では共晶を形成し、AuとCu間では規則格子を作る。
  4. AuとAg間では、全率固溶体となるので、硬化には寄与しない。

陶材焼付用合金

  1. 主成分はAuで、75〜85%、つまり、18〜20Kはある。
  2. 一番の特徴はCuが入っていない事。Cuは陶材を変色させる。
  3. Agもほとんど入っていない。
  4. リューサイト(白金)は金属の熱膨張率を陶材の様にげるために10〜20%添加される。
  5. Sn、Inは金属に酸化膜を作り、陶材と溶着しやすいようにする。
  6. 硬さはタイプ3相当である
  7. しかし、融点だけはとても1300度と、リン酸塩系埋没材を遣う必要がある。
  8. 陶材の融点は950度なので、合金は200〜300度ほど、融点がい。
  9. 金属表面の酸化膜はディギャッシングにより付加される。

低融銀合金

  1. 硬さはタイプ3相当である。
  2. 粗末な金属で、メタルコアに使うくらいである。

<非貴金属>

Co-Cr合金

  1. 最も使われている材料。
  2. Coが40%、Crが20%程含まれる。
  3. 成分中のCrのおかげで表面に不働態膜を形成するので、耐食性に優れる。
  4. 比重がい(金合金の1/2の比重)ので金属床に最適。
  5. 強さはかなりい。硬さが350Hvあり、貴金属よりもく、エナメル質と同程度。
  6. 融点が1300℃とく、これは貴金属の陶材焼付用合金の1200-1300℃よりもく、チタンに次いで2位である。
  7. リン酸塩系埋没材を使用する。
  8. 他はだいたいType4金合金とおなじくらい。

純チタン

  1. インプラントとかに使う。
  2. 不働態化により耐食性に優れる
  3. 生体親和性に優れる
  4. 比重がきわめてい(Ti:Co-Cr:金合金=1:2:4
  5. 酸素ときわめて反応しやすいので、鋳造には不向き
  6. 融点がめちゃくちゃく、1670℃と、金属で最高。よって、真空中で鋳造。
  7. 耐火材シリカは使えない。

ニッケル・チタン

  1. 形状記憶合金

18-8ステンレス鋼

  1. 組成式はFe-18Cr-8Niで、18-8の正体はクロムニッケルである。
  2. 矯正線とかにつかうけど、鋳造とかはしない。あまり出番のない金属
  3. 配合されたクロムのおかげで酸化膜ができ(不働態化)、耐食性に優れる
  4. 硬化熱処理できない。

ニッケル・クロム

1. Niの発がん性などにより、最近は使われなくなった。

<金属の性質>

貴金属はイオン化傾向が小さいので、化学的に安定で腐食しにくい。
非貴金属はイオン化傾向が大きいので腐食しやすい。
Au:耐食性の向上。伸びの向上
Cu:融点を下げる。強度を上げる。陶材を変色させる。腐食しやすくなる
Ag:白色化する。
Pd:Agの硫化を防ぐ。物性の向上
Pt:熱膨張率の低下。物性の向上
SnIn:Agの硫化を防ぐ。酸化膜形成(陶材の溶着)。物性の低下
TiCr:不働態膜を作る。