接着システム、セルフエッチングプライマー

接着はエナメル質への接着と象牙質への接着で大きく異なる。

<エナメル質への接着>

エナメル質への接着は、機械的勘合による。30〜40%の正リン酸にてエナメル小柱の周囲の境界部が脱灰され、凸凹となる。従って、過度のエッチングは接着強さ低下につながる。凸凹にボンディングレジンが侵入しエナメル・レジンタグが形成される。エナメルエッチングの意義は以下の通り。
  1. スミヤー層の除去
  2. 表面の清掃
  3. 表面の増加
  4. 歯面の極性化によるレジンのぬれ性向上

<象牙質への接着>

象牙質への接着は、以下の2種類の機械的勘合による。
  1. 樹脂含浸層:コラーゲン線維とレジンとの絡み合い
  2. レジンタグ:象牙細管内へのレジン侵入
象牙質接着の重大な問題は水分である。基本的にレジンは水分を嫌うため、コラーゲンの間とかに浸透しない。そこで考えだされたのが接着性(親水性)モノマーを用いたプライマー。こいつは水ともボンディングレジンとも相性がいいから、両者をつなげてくれる!
あと、従来はエッチングの後は乾燥させてたけど、象牙質のコラーゲン線維は乾燥によって萎縮しちゃって、ちゃんとプライマーが浸透できないから、近年ではエッチング、水洗のあとはちょいぬれた状態でプライマーを塗布するウェットボンディングが推奨されている!

<接着システム>

結局、エッチングとプライミングとボンディングの3ステップで煩雑な接着。これをなんとか簡単にしようとしたのが接着システム。
セルフエッチングプライマーセルフプライミングボンディングがある!

セルフエッチングプライマー

セルフエッチングプライマーは以下の3つから構成されている。

  1. 親水性の酸性モノマー(=機能性モノマー、接着性レジンモノマー)
  2. 親水性の酸性でないモノマー
  • そもそも、親水基(-OH-P-OH-COOH)を持つモノマーを親水性モノマーという。
  • その中でも、水中でH+を遊離するもの(-P-OH-COOH)を酸性モノマー(機能性モノマー、接着性レジンモノマー)という。
  • 酸性モノマーはプライマーとして働く。
  • ただの親水性モノマーの代表はHEMA
  • 酸性モノマーと言えば、Phenyl-P4-METAMDPなどがある。