<エナメル質への接着>
エナメル質への接着は、機械的勘合による。30〜40%の正リン酸にてエナメル小柱の周囲の境界部が脱灰され、凸凹となる。従って、過度のエッチングは接着強さ低下につながる。凸凹にボンディングレジンが侵入しエナメル・レジンタグが形成される。エナメルエッチングの意義は以下の通り。- スミヤー層の除去
- 表面の清掃
- 表面積の増加
- 歯面の極性化によるレジンのぬれ性向上
<象牙質への接着>
象牙質への接着は、以下の2種類の機械的勘合による。
- 樹脂含浸層:コラーゲン線維とレジンとの絡み合い
- レジンタグ:象牙細管内へのレジン侵入
象牙質接着の重大な問題は水分である。基本的にレジンは水分を嫌うため、コラーゲンの間とかに浸透しない。そこで考えだされたのが接着性(親水性)モノマーを用いたプライマー。こいつは水ともボンディングレジンとも相性がいいから、両者をつなげてくれる!
あと、従来はエッチングの後は乾燥させてたけど、象牙質のコラーゲン線維は乾燥によって萎縮しちゃって、ちゃんとプライマーが浸透できないから、近年ではエッチング、水洗のあとはちょいぬれた状態でプライマーを塗布するウェットボンディングが推奨されている!
<接着システム>
結局、エッチングとプライミングとボンディングの3ステップで煩雑な接着。これをなんとか簡単にしようとしたのが接着システム。
セルフエッチングプライマーとセルフプライミングボンディングがある!
セルフエッチングプライマー
セルフエッチングプライマーは以下の3つから構成されている。- 親水性の酸性モノマー(=機能性モノマー、接着性レジンモノマー)
- 親水性の酸性でないモノマー
- 水
- そもそも、親水基(-OH、-P-OH、-COOH)を持つモノマーを親水性モノマーという。
- その中でも、水中でH+を遊離するもの(-P-OH、-COOH)を酸性モノマー(機能性モノマー、接着性レジンモノマー)という。
- 酸性モノマーはプライマーとして働く。
- ただの親水性モノマーの代表はHEMA
- 酸性モノマーと言えば、Phenyl-P、4-META、MDPなどがある。