症候性疾患

<紅斑を伴う疾患>

Bechet病

原因は不明20〜40歳。
以下の4大徴候が有名
  1. 口腔内の再発性アフタ
  2. 外陰部潰瘍
  3. 再発性前眼房蓄膿性ぶどう膜炎
  4. 結節性紅斑
その他、多発性の関節炎などがある。
検査は検査やHLA抗原の検査を行う

全身性エリテマトーデス SLE

以下の症状が見られる。
  1. 顔の蝶形紅斑
  2. 多発性関節炎
  3. 腎障害
  4. 口腔内には 痛性の潰瘍びらんが見られる。
検査所見では、LE現象抗核抗体であるLE因子を細胞貪食反応で見る検査)が見られる

多形滲出性紅斑 スティーブンスジョンソン症候群

  • 口唇、口腔、鼻、外陰部にびらんを生じ、全身皮膚に紅斑びらんを生じる疾患群。
  • スティーブンスジョンソン症候群もこれにあたる。
  • 原因不明で、年齢、性差を問わず発症する。
  • 薬疹の位置型として出現することが有る。
  • 急性期のステロイド投与など対症療法が重要で、回復に至るが、二次性に後遺症を残すこともある。

<色素沈着を伴う疾患>

McCune-Albright症候群

特徴的症状は3つ!!
  1. 多発性の線維性骨異形成症
  2. 全身皮膚色素沈着カフェオレ斑
  3. 性的早熟 ※性的未熟はTurner症候群(XO:女性)
女性の方が男性の2,3倍い。
また、血清アルカリフォスファターゼが高値となる。

Peutz-Jeghers症候群

  • 特徴
    • 多発性色素斑
    • 消化管ポリポーシス ※家族性大腸性ポリポーシスはGardner症候群
  • 原因
    • 常染色体優性遺伝である。

von Recklinghausen病

  • 特徴
    1. 全身の皮膚、神経に多発する神経繊維腫
    2. 皮膚のカフェオレ斑
  • 原因
    • 不明。常染色体優性遺伝である。

Gorlin-Goltz症候群/基底細胞母斑症候群

  1. 多発性の角化嚢胞性歯原性腫瘍
  2. 母斑 ※カフェオレ斑とは別物!!!
  3. 二分肋骨
  4. 大脳鎌の石灰化
  5. 手足の点状小窩 ※『手掌の多発性嚢胞』は掌底嚢胞症!!
  6. 解離

Sturge-Weber症候群

中枢神経症状を伴う三叉神経、脳領域の先天性血管奇形。
顔面に多発性の血管腫を認め、三叉神経第1枝、2枝領域に多い。
てんかんをともなう。
3大症状に以下がある。
  1. 顔面母斑
  2. 脳軟膜血管腫
  3. 牛眼

<配偶子病・伴性劣性遺伝の疾患>

Turner症候群

  1. 性的未熟(二次性徴の欠如)
  2. 低身長
  3. 女性に発現する
  4. 高口蓋
  5. 口蓋裂
  6. 小下顎症
  7. 矮小歯
  8. 短根歯
  9. X染色体が1つしかない染色体異常

Klinefelter症候群

  1. 睾丸の発育不全や精子形成不能など、女性化傾向
  2. タウロドントを呈する場合もある。
  3. 歯周疾患になり易い

無汗型外胚葉異形成症

3徴候
  1. 無汗症(体温調節困難)
  2. 発毛不全
  3. 無歯症
その他
  1. 老人様顔貌
  2. 涙腺や唾液腺の分泌障害
  3. 鞍鼻
  4. 虹彩形成不全
  5. 精神遅滞がない
  6. 伴性劣性遺伝の型が多いため、男性に多い
無爪型外胚葉異形成症
  1. の形成異常
  2. 発毛不全
  3. 顔面や歯は正常なことが多い

<手足に異常をきたすもの>

掌底嚢胞症

  1. 手掌の多発性嚢胞

Papillon-Lefevre症候群(先天性掌蹠角化症『しょうせき』と読む)

高度な歯周疾患
掌足の裏の過角化
歯が萌出すると重度の歯周疾患となり、早期に脱落する。

先天性表皮水疱症

  • エナメル質形成不全
  • 齲蝕になり易い
  • 上皮水疱を作る疾患。日常生活動作で簡単に皮膚がはがれびらんを作る。繰り返し水疱とびらんが形成されるため、瘢痕性の開口障害をきたしやすい。
  • 遺伝性の疾患で、幼少期から発症する。
  • 治療法は対症療法にとどまる。
  • 分類により、予後は異なる。

<上顎の劣成長を伴う症候群>

Apert症候群

  • 特徴
    • 塔状頭蓋
    • 合指症
    • 頭蓋冠状縫合の早期癒合
    • 眼球の突出
    • 両眼離開
    • 口蓋裂
    • 精神遅滞
    • 下顎前突(中顔面発育不全)
  • 原因
    • 常染色体優性遺伝

Crouzon症候群/頭蓋顔面異骨症

  1. 特徴
    1. 頭蓋骨の早期癒合
    2. 尖頭
    3. 上顎形成不全による下顎前突
    4. 眼球突出
    5. オウムの嘴型の鼻
    6. Crouzon症候群に合指を合併したものがApert症候群
  2. 原因
    1. 常染色体優性遺伝

Down症候群

  1. 額が広い
  2. 耳介低位
  3. 眼裂斜上
  4. 両眼離開
  5. 低い鼻稜
  6. 口唇の肥厚
  7. 心奇形
  8. 巨舌症
  9. 溝舌
  10. 狭高口蓋
  11. 上顎裂成長による下顎前突
  12. 歯の形成不全
  13. 欠如歯
  14. 癒合歯
  15. 円錐歯
  16. 栓状歯
  17. 歯の萌出遅延
  18. 齲蝕は少ない
  19. 歯周疾患

鎖骨頭蓋異骨症

  • 特徴
    1. 鎖骨欠損
    2. 頭蓋骨縫合骨化遅延
    3. 乳歯、永久歯の萌出遅延
    4. 乳歯の晩期残存
    5. 歯の欠損
    6. 多数の埋伏過剰歯
    7. エナメル質低形成
    8. 狭高口蓋
    9. 口蓋裂
  • 原因
    • 基本は常染色体優性遺伝であるが、1/3は突発性である。

    <下顎の劣成長を伴う症候群>

    Goldenhar症候群

    1. 第1、2鰓弓の発生異常による。
    2. 外耳奇形
    3. 片側の顔面形成不全
    4. 眼球類皮腫
    5. 脊椎奇形
    6. 横顔裂

    第一第二鰓弓症候群/Treacher-Collins症候群(下顎顔面形成不全症)>

    • 特徴
      • 小下顎症で上顎前突。バードフェイスとも。でも実は上顎も劣成長気味
      • 顎関節の形成異常。
      • 眼裂外側の下垂
      • 難聴
      • 耳介の奇形
      • 歯の萌出遅延
      • 口蓋裂
      • 横顔裂による巨口
      • 精神遅滞があることも
      • 片側性に発現したものを第一第二鰓弓症候群といい、両側性に発現した物をTreacher-Collins症候群(下顎顔面形成不全症)という。
    •  原因
      • 常染色体優性遺伝

    Pierre Robin症候群

    1. 先天性小下顎症
    2. 舌根沈下
    3. 呼吸障害
    4. 口蓋裂(軟口蓋裂)

    <その他症候群>

    Melkersson-Rosenthal症候群>

    1. 原因不明の肉芽腫性口唇炎
    2. 顔面神経麻痺
    3. 溝舌
    4. 顔面腫脹
    5. 初発年齢は20

    Gardner症候群

    • 特徴
      1. 家族性大腸性ポリポーシス
      2. 多発性の骨腫、歯牙種、埋伏歯
    • 原因
      • 常染色体優性遺伝である。

      <内分泌障害を伴うもの>

      くる病

      1. エナメル質、象牙質形成不全
      2. 歯の萌出遅延
      3. タウロドント
      4. 低カルシウム血症
      5. 高アルカリフォスファターゼ血症
      6. 齲蝕に罹患し易い

      低ホスファターゼ症

      1. アルカリフォスファターゼ欠乏
      2. 乳前歯の早期脱落
      3. 常染色体劣性遺伝

      甲状腺機能低下症(クレチン病)

      1. 先天性の場合クレチン病という。
      2. 女児に2倍多い。
      3. 鞍鼻
      4. 巨舌
      5. 精神遅滞
      6. 低身長
      7. 歯の萌出遅延
      8. 開咬

      甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

      1. 女性に6倍多い
      2. 乳歯早期脱落
      3. 永久歯早期萌出

      副甲状腺機能低下症

      1. エナメル質減形成症
      2. 歯の萌出遅延
      3. 欠如歯
      4. 齲蝕に罹患し易い

      慢性副腎皮質機能低下症(Addison病)

      ステロイドホルモンが分泌されない疾患で、ステロイド補充療法を受けている。


      <その他意味不明な物>

      サルコイドーシス

      全身の臓器に結核に似た肉芽腫を作る。原因は不明だが、免疫疾患だと思われる。 罹患する臓器によって症状は異なるが、肺の疾患は見られるっぽい。

      Cushing症候群・病

      慢性の副腎皮質ステロイドホルモン(糖質コルチコイド)過剰による症候群。下垂体腺腫が原因でACTH副腎皮質刺激ホルモン)の過剰分泌によって起こった場合をクッシング病という。